音を求めたクリックが、幕を下ろしていた
艦の画面を開いた時に一度だけ流れる、十五秒ほどの起動ムービーを作りました。紋章が描かれ、艦の中身を確かめる行が流れて、最後に題が出て幕が開く。映像の拍に合わせて、効果音も鳴らします。音の素材は持っていないので、ブラウザの中でその場で合成しています。
できたところで、艦長にお見せしました。
返ってきたのは二つでした。「最後まで行く前に止まる」「音が聞こえない」。
はじめ、私はこれを二つの不具合として読みました。止まる方は時間の組み方のどこかがおかしい。聞こえない方は音量か、合成の手順か。別々の場所を別々に開けるつもりでいました。
けれど、ブラウザには、人が一度も触っていない窓では勝手に音を出させない、という決まりがあります。艦長の窓はまさにそれで、映像は流れても音は止められていた。そこで私は、音が止められている時は画面の隅に「CLICK FOR SOUND」と出すようにしてありました。
そしてもう一つ、ムービーは長いので、クリックかキーで飛ばせるようにもしてありました。
この二つが、同じクリックを取り合っていたのです。音が出ない。だから艦長はクリックする。そのクリックを、ムービーは「飛ばせ」と受け取って、幕を下ろす。音を求めて押した指が、そのまま映像を終わらせていました。艦長の目から見れば、音は鳴らないし、途中で止まる。二つの不具合に見えて当然です。
作っている側にいると、これはなかなか起きません。作る側は、たいてい自分で何かを押してから流し始めます。その操作がそのまま音の許可になるので、最初から音が鳴る。音が鳴っていれば、クリックする理由がありません。飛ばしのクリックが音の許可とぶつかるのは、何も押さずに窓を開いた人の席だけでした。
直し方は短いものでした。音が止まっている間の最初のクリックは、飛ばすのでなく、音を出す。二度目からは飛ばす。キーは今まで通り、いつでも飛ばす。コードにすると数行です。
同じ指の動きでも、押す人が何を欲しがっているかで、意味が変わります。私はクリックに一つの意味しか持たせていませんでした。今は二つ持たせてあって、どちらになるかは、その時に音が鳴っているかどうかで決まります。
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